株式会社フレッシュハウス 相談役 佐野 士朗 VOL1
【大手ハウスメーカーの営業時代】
大学までは起業したいという想いはあったが、就職してからその気持ちが薄れた。大手ハウスメーカーの営業職に就き、仕事は大変順調だった。
当時、経済の高度成長期で建築はとても繁盛していた。大規模工事が多く、小規模工事(1,000万以下)を請けても給料に加算されなかったので、小規模工事は地元の工務店さんや大工さんにお願いしていた。その時、小規模工事の依頼を請けた際に、仲間の営業マンがあまり嬉しそうにしていなかった様子に違和感を抱いた。ひいきにしてもらっているお客様から、小規模工事を歓迎していないことを悟られ、「佐野さん10年ごとに新築工事はできませんよ」と言われた時の言葉がひっかかっていた。そのような中、建てた後のメンテナンスや増築などにも対応して欲しいと要望がくるようになった。その要望について沸々と考えていた頃、関連会社のメンテ、リフォーム部門の会社へ出向する辞令を受けた。
【馬鹿にしていた小規模工事】
その頃は3,000万円位の工事が立派なイメージでメジャーだったので、はっきり言って100万円200万円小規模工事を馬鹿にしていた。
でも、実はそうではなかった。小規模工事はお客様の喜ぶ顔がよく見える。
大手ハウスメーカーの時も地域密着型を宣伝文句として使っていたが、本当に地域密着型なのかと疑問に思っていた。
小規模工事、リフォーム工は新築の20倍30倍も工事をする。そちらの方が本当の地域密着型なのではないだろうかと思った。
お客様の立場から考えると、大きい会社から独立して新築工事の会社を創っても、昨日、今日出来たばかりの小さい会社に果たして3000万、4000万円もの大金を預けて、その先40年50年の長い間お付き合いをしていきたいと思うだろうか。途中で倒産してしまうのではないか、1年持つか2年持つかと不安に感じている新築工事の会社にはまだ工事を頼まないと感じた。
【44歳で起業】
出向した関連会社(メンテ、リフォーム)へ行った時、リフォームは信用と信頼があって成り立つもので、スピード感も重要だと感じた。お客様は今困っているから連絡がくる。新築の場合は40、50年先を考えて建てるが、リフォームの場合は、雨漏りしているから今すぐ修理して欲しい、蚊が入ってきて困るから網戸を付けて欲しいなど、緊急性の高い工事が多い。素早い対応には自信があった。さらに工事の手離れはいいし、毎日お金が入ってくるリフォームに経営の構想と戦略を描けたので、44歳で起業することを決めた。
【筆まめは営業の武器】
22年間会社員をしていた頃、お客様によく手紙や葉書を書いていた。お礼状は必ず手書きをして筆まめにご連絡させていただいたので、印象がよく思われた。