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2021/02/02 ジェルコの履歴書

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ジェルコの履歴書 其の参 株式会社OKUTA③

LOHAS CLUB(ロハスクラブ)会員は首都圏約16000世帯

95年頃生涯顧客化ができないものかと考えていたところ、いずれやってくる結婚式やお葬式などに備えて、会費を積み立てていく互助会というモデルがあった。月500円、年間6000円など積み立てる仕組みだ。今で云うところのサブスクリプションビジネスにも近い仕組みである。これを応用して有料会員サービスの「LOHAS CLUB」を構築した。アフターサービスを無料にするという考えに疑問を感じていたからだ。
お客様からお金をお預かりしていることで、お客様への責任がより重くなってくる。義務と責任の違いだ。お客様と会費というご縁が続くことでアフターサービスを躊躇せずにお声かけいただき遠慮せずご用命いただける。
競合他社からなんらかの引き合いを受けてお客様がさらなるリフォームを考えた際に、LOHAS CLUBポイントが貯まっているので必ず商談テーブルにOKUTAも入れてくれる。他社からこういう見積もりがでてきたのだけど、「OKUTAさんだったらいくらぐらいでできますか?」と遠慮なくお声かけいただける。
今は有料会員で16000世帯くらいになっている。会費と費用がトントンでも顧客の生涯価値化にかけていると思えばいい訳で、ポイントは現金化できない仕組みなので、取り付け騒ぎにもならない。
現在はリフォームや新築だけにとどまらず、住宅設備機器の延長保証、家具家電品、健康食品や健康器具レンタルにまでLOHAS CLUBのサービスは多岐にわたり今後もサービスを広げていく。(https://lohas-club.jp/)
有料会員からの受注が年間10億円くらいある。悪徳リフォーム詐欺事件と姉歯事件の年、受注が激減しLOHAS CLUB会員さまに助けられたことがある。来年リフォームするつもりだったが、今年やってもいいよといって前倒しで仕事をいただけた。LOHAS CLUBは永続してもらいたいというありがたい声を多くいただく。ご贔屓のお客様の中にはリフォーム20回以上という会員さまが沢山おりなかには40回などという方もいる。

健全な競争こそが共存の条件

首都圏のマーケットでLOHAS studioのようなブランドが受入れられるブランドのマーケットシェア以上のことを求めればいずれ消耗戦になる。そのため、自社ブランドの最大値を知ることが大切だと考えている。人にはそれぞれ嗜好があり、たばこ市場で言えば、様々な種類が存在しているが、セブンスターを嗜好する市場をもっと広げていき、マルボロの市場まで取ろうとせず、セブンスターのマーケットで価値最大化を狙う。ブランド力で競合企業を大きく上回る事が出来る場合は、市場の絞り込みで有効なマーケティングが出来るはずだ。常に市場というものは競争しているわけだが、ジェルコの会員だけにとどまらず競合他社は競争していることで共存しているということを知るべきだと思う。競争し合っている間はお互い牽制し合うので、健全な価格競争が行われれば消費者利益が増えることになる。競合他社を敵対視するような狭量な考えでは市場の中で真の豊かさは享受できない。競合他社が健全な競争をしていることで共存しているということだ。競合他社が健全な競争をしている市場では粗悪な事業者は淘汰され、より情報の非対称性が埋まり消費者は安心して売買ができるようになる。お互いに情報交換して相手の得意技を探り合っていることはすでに共存しているといえる。相撲にたとえると横綱が二人いないと興行は成り立ちづらい。大関だけで興行しても面白くないからお客様は入らない。ジェルコの会員同士は同市場ではライバルになるわけだが、技術講習会などでお互い情報を共有しお互い専門的インテリジェンスを高めていくことは有意義なことであろう。
リフォームをはじめ住宅業界は寡占化が難しい業界だと考えている。携帯や自動車の業界のように寡占化するにはあと50年はかかるのではないだろうか。寡占化できる時代とは情報ネットワークが完成していない時代のことで、つまり情報自体も限られた人にだけもたらされた時代とも言える。
リフォーム市場を大きく成長させるには競合他社が健全な競争を行い社員の専門的インテリジェンスを高め、品質を向上させ、欠陥や劣悪な住宅を造らないという決心と信念が必要だと思う。

これからは経営をアートにとらえる

私は大胆な部分もあるが、臆病な部分もあると自分で思う。あまり楽観的でない。見かけはそのようにみられないけれど、あれこれ思いを巡らせるのが好きな方だ。
101匹目の猿現象みたいに自然波及するものはたくさんある。誰かよりも先にということは常に考えているかもしれない。直感的に面白いと感じることをやることが大切な時代だと思う。
最近とても面白いと感じて惹かれるのが岡本太郎。岡本太郎は非常にIQが高い人だと思う。親譲りの才能だけではなくピアノも弾くし、執筆した本を読んでもかなり思考が深く高い。小説やエッセイだけでも生活していけるぐらいの実力の持ち主だ。ビジネスマンにも岡本太郎の「自分の中に毒を持て」という本は特にお勧めだ。岡本太郎の父親は漫画家の岡本一平で母親は小説家の岡本かの子。岡本一平は夏目漱石からも高く評価された風刺漫画家。弟子に日本酒黄桜のカッパの絵で有名な清水崑がいる。

経営も直感力とかアートで考える時代がきたと感じる。従来の成功体験は通用しないことが多くなるだろう。従来の考え方もパラダイムシフトを起こしたコロナ禍になってより顕著になったと云える。であるならば経験による直感力を鍛えるしかないだろう。
直感力を鍛えるには、経験を積み知識を蓄えることであり、運や勘に頼るというものではない。ブルース・リーが燃えよドラゴンで有名なシーンで云った。「Don’t think, feel !考えるな、感じろ!」である。

累計売上高1000億円を突破、そして創立30年の節目に

2019年に累計売上1000億円を超えることができた。なにかにつけ持続可能な経営について云ってきたが、100億円企業を10年続けるよりも、10億円企業を100年続けるほうが企業価値が高いと考えている。それは、企業が存続していくには「人」が最も大切なのだが、100年続けるには経営を引き継ぐ事業継承や世代交代が必要だ。物事にはライフサイクルがあり企業にも成長サイクルというものがある。企業が生まれる幼年期>成長期>成熟期>衰退期という4つのフェーズのことだ。OKUTAは今どのフェーズにいるのかと思うと、成熟期あたりだろう。新規事業展開や事業の多角化、それぞれの事業の拡大、そのための人材確保を続けていくと組織はどんどん大きくなり、成熟期へと入る。成熟といってもそこで成長がストップするわけではない。踊り場にたって組織体系や企業全体を見直し、更なる成長をし続けなければならない。ただし大きくなることだけが成長とは奥田は考えない。技術的進化も成長と云えるし顧客満足度の向上も成長と云える。経営者という人種はなにかにつけ売上の大小を口にするものだが、売上の大小よりも大切だと思うのは、その会社はどのような価値を市場に提供しているのかという存続意義だ。例えばOKUTAが精力的に取り組んでいるpassiv designというエネルギー消費を抑え、快適な生活環境や室内気候をつくろうとする高性能住宅がある。省エネな家は、エネルギー資源の乏しい我が国日本にとってもっとも求められる住宅性能であり、ストレスのない快適な住環境はこれからの高齢化社会では寿命にも関係する家であると思う。そのような家づくりは一朝一夕で出来るようなものではない。目指すのは世界基準の家づくりであり、その家を造るのはすべて人である。常に研鑽を怠らず、常に新しい知識技術習得にチャレンジしていかなければならない。家づくりは楽しくダイナミックな魅力があり、そして社会的意義のある価値ある仕事だと思う。

2021年1月22日に創立30年目を迎え、2022年の創立記念日で30周年となる。東京商工リサーチによると創業から30年以上事業を行っている企業を老舗と定義している。正直起業はそれほど難しいものではないと思う。起業よりも継続の方がより難しいと思う。コロナというパラダイムシフトを経験し、仕事の流儀や仕事のあり方も大きな変革を求められている。変革とは進化が必要だということだろう。それは環境適応力とも云える。

OKUTA Family会長
Creator&C.E.O 奥田イサム