会員インタビュー会員インタビュー

Interview

2024/09/02 会員インタビュー

近畿支部

近畿支部会員インタビューNo.11 リブウェル株式会社 金井 敬社長

近畿支部会員インタビューNo.11 リブウェル株式会社 金井 敬社長

真夏の昼下がり。われわれインタビュー部隊は、大阪府松原市にあるリブウェルグループ本社前に降り立った。敷地には高さ10メートルを超えるであろう独立看板がそびえ立っている。三角柱型というのも珍しいが、3面がデザイン違いというのも更に珍しい。3面のうち2面は道路を走る車から見えるのだが、残る1面はどう頑張っても道路からは見えない。しかもその1面だけが日本語表記なのだ。

少し気になりながら受付係の方に来訪を告げると、連絡を受けた金井社長が明るい笑顔とともに現れたのだった。

金井社長と、インタビュー部隊の一人である石橋さん(㈱植木工務店部長、女性)は旧知の仲とのことで、久方ぶりの再会に歓声をあげるお二人。ひとしきり昔ばなしに花を咲かせたのち、綺麗なショールームの一角に陣取ってインタビュー開始となったのだった。

聞き手] それでは早速、インタビューを始めさせていただきます。 最初にリブウェルさんの事業内容について教えてください。

 

[金井社長] 「㈱リブウェルヤマザキ」という会社がありまして、そこが配管資材や住宅設備機器の卸売業をメインでやっていて、私がこの会社に帰ってきた時に「リフォーム事業を立ち上げよう」という話になりまして、それで興したのがこの「リブウェル㈱」なんです。

 

[聞き手] 「ヤマザキ」という名称は?

 

[金井社長] ㈱リブウェルヤマザキは母方の祖父が創業者なんですが、苗字が「山崎」だったんで。今もこの隣に㈱リブウェルヤマザキがあって配管資材なんかの在庫をたくさん置いてあるんですが、 そこにプラスする形でリフォーム事業を立ち上げて、そのあと不動産仲介と買取再販事業も始めてきました。

名刺の裏に今やっている事業がずらっと書いてありまして…そうそう、 KVKという水栓メーカーのメンテナンスの請負もやっています。

 

[聞き手] (名刺を見ながら)卸売、リフォーム、不動産、メンテナンス、ソリューション、事業継承支援‥。スゴい!多角経営ですね。

[金井社長] その中のソリューションは新規事業になるのですが、めちゃくちゃタイムリーなんですが、つい先日、7月1日に障害者の就労継続支援B型という事業「大阪デジタルキャリア 天王寺駅前オフィス」が天王寺でスタートしました。

全ての事業が互いに関連していて、障害福祉サービスも入力とかスキャニングとか、デジタル作業に特化した施設にしていて、グループ内の仕事がいっぱいあるので、その入力作業などを全部その事業所に任せるっていうことを進めていこうとしています。

 

[聞き手] 特に外から仕事がなくても、グループ内で仕事があるということですか。

 

[金井社長] そうなんですよ。社内の残業問題の解決にも繋がるし、障害者への貢献にもなっています。

 

[聞き手] 私もリフォーム店のような地域に根差した仕事をしていると、最後はやっぱり障害者とか、引きこもり支援とか、そっちのほうに結びついていくなっていう話をちょうど昨日していたところです。

 

[金井社長] 元々普通に働いていたんだけど、 職場の人間関係で行けなくなってしまったという人が結構多いみたいです。

 

[聞き手] 単一事業ではない、多角経営のメリットってどこにあるのでしょう?

 

[金井社長] 以前は「リフォーム事業だけでこのくらいの規模を目指そう」という視点だったんですが、よく考えたら母体である卸売り業も含めたグループで考えたほうが視野が広がって、結局お客様にとっても社員にとってもいいんじゃないかと思うようになりました。

「グループで経営していこう」と思ったのが5~6年前で、その時から「動き出した」みたいな感があるかもしれないですね。

 

[聞き手] なるほど。それでは、リブウェルさんの他社にはないと思われる取り組みを教えてください。

 

 

[金井社長] 地域最大級の水まわりのショールームを、 松原・羽曳野・藤井寺市っていう商圏に2つ、置いています。

①チラシと②WEBサイトと③展示商品の3つが、すべて共通しているというコンセプトでやりだしたんです。チラシを見て「これ欲しいな」と思ってショールームに来たら、それがちゃんと展示してあって、気に入ったら買える(工事してもらえる)という仕組みを作りました。

 

 

[聞き手] チラシで「これいいな」って思ってお店に来ても、同じものは展示してないってこと普通にありますよね。

 

[金井社長] そうなんです。そこに手を入れたことと、さらにお客さんから見て価格がわかりやすいようにパッケージ化してある、というのも特長です。

解体を含めた基本工事費を標準価格として表示しているのですが、その価格は実はこちらとしても無理して安くした価格ではないんです。「激安」なのではなくて「わかりやすい」んです。

リフォームって一般の人から見るとわかりにくいじゃないですか。見積書を見ても一般の人には内容までわからない。それを「わかりやすくする」っていうのは、お客さんにとっては良いことだと考えてそうしています。

来店いただいて「チラシでこれ見たんやけど」っておっしゃったら、「こちらです」っていう形でご案内して、特段の事情がなければその値段で工事できるっていう、そういった透明性を出しているという点は、他社ではあまりされていない独自性かもしれません。

[聞き手] 標準価格が予め決まっていることで、営業社員のスキルもそれほど高く求められないというのもメリットのひとつなのでしょうか。

 

[金井社長] おっしゃる通りです。やっぱり「リフォームは難しい」っていうのがずっと課題としてあって、スタッフが早く即戦力化できることと、熟練度が高くなくてもお客さんに迷惑をかけないということ、こういった点でも価格のパッケージ化はかなり有効です。

ただ、パッケージ化は水まわり工事に絞っているからこそ可能なことだとも考えています。昔は断熱とか耐震にも手を出したり、デザイン的なこともやろうとしていたんですが、 今は「水まわり専門店」っていう打ち出し方をしています。それを入り口に木工事や増改築の依頼もちゃんと来ますから。

 

[聞き手] もちろん耐震や断熱もされるんですよね、

 

[金井社長] ご依頼があればやるんですが、それを全面的に打ち出して相見積りに入っていくみたいなことはもうしていませんね。

それよりも松原・羽曳野・藤井寺という3市で圧倒的シェアをあげていくということを狙ってやっています。われわれはそこからは一切出ないので。その3市内で弊社ほどショールーム戦略に特化している他社さんが大手も含めていらっしゃらないので、そこが強みですね。3市の中ではトップシェアを絶対取る、言い換えれば、お客様がリフォームを思い立たれたら絶対にウチに声をかけていただくっていう戦略です。

 

[聞き手] 3市にTOTOやクリナップなんかのメーカーのショールームはあるんですか?

 

[金井社長] それがないんですよ。堺市か梅田に行かないとなくて。ここから梅田は車で30~40分かかるのでみなさん嫌がるんです。

 

[聞き手] なるほど!これだけ実物を展示している意味が分かりました。

 

[金井社長] メーカーさんからしても、3市合わせて30万人弱のエリアにショールームを出すほどではないという事情もあって、我々のショールームに応援をしてくれるんです。大手ハウスメーカーにとっても営業所を出すほどでもないみたいで、みんな堺市からやってくるんです。

 

[聞き手] リブウェルさんのショールームがここにある意味がすごくありますね。

 

[聞き手] 標準価格が予め決まっていることで、営業社員のスキルもそれほど高く求められないというのもメリットのひとつなのでしょうか。

 

[金井社長] おっしゃる通りです。やっぱり「リフォームは難しい」っていうのがずっと課題としてあって、スタッフが早く即戦力化できることと、熟練度が高くなくてもお客さんに迷惑をかけないということ、こういった点でも価格のパッケージ化はかなり有効です。

ただ、パッケージ化は水まわり工事に絞っているからこそ可能なことだとも考えています。昔は断熱とか耐震にも手を出したり、デザイン的なこともやろうとしていたんですが、 今は「水まわり専門店」っていう打ち出し方をしています。それを入り口に木工事や増改築の依頼もちゃんと来ますから。

 

[聞き手] もちろん耐震や断熱もされるんですよね、

 

[金井社長] ご依頼があればやるんですが、それを全面的に打ち出して相見積りに入っていくみたいなことはもうしていませんね。

それよりも松原・羽曳野・藤井寺という3市で圧倒的シェアをあげていくということを狙ってやっています。われわれはそこからは一切出ないので。その3市内で弊社ほどショールーム戦略に特化している他社さんが大手も含めていらっしゃらないので、そこが強みですね。3市の中ではトップシェアを絶対取る、言い換えれば、お客様がリフォームを思い立たれたら絶対にウチに声をかけていただくっていう戦略です。

 

[聞き手] 3市にTOTOやクリナップなんかのメーカーのショールームはあるんですか?

 

[金井社長] それがないんですよ。堺市か梅田に行かないとなくて。ここから梅田は車で30~40分かかるのでみなさん嫌がるんです。

 

[聞き手] なるほど!これだけ実物を展示している意味が分かりました。

 

[金井社長] メーカーさんからしても、3市合わせて30万人弱のエリアにショールームを出すほどではないという事情もあって、我々のショールームに応援をしてくれるんです。大手ハウスメーカーにとっても営業所を出すほどでもないみたいで、みんな堺市からやってくるんです。

 

[聞き手] リブウェルさんのショールームがここにある意味がすごくありますね。

[金井社長] 以前はマイナビなんかのナビサイトで会社説明会やインターシップを募って、普通に選考をやっていくという感じでしたが、最近は体育会系学生のイベントに出たりしています。最近は人が少なくなってきて、本当に取り合いなので入社した先輩からのリファラルはとても有効だと感じています。

 

[聞き手] 社員教育はどのように?

 

[金井社長] 昔は「先輩社員の後ろについて覚えろ」みたいな感じでしたが、最近は教育マニュアルの整備ができてきました。今までたくさんの社員が辞めていったんで、辞めないようにするにはどうしたらいいのかを常に考えてきました。リフォームの仕事ってほんとに楽じゃないんで‥。

この仕事はお客様から「ありがとう」と言っていただいたり、感動の手紙をいただいたりと大きなやりがいがあるんですが、そこにたどり着くまでに覚えなければならないことが膨大で、大変なんですよね。

 

[聞き手] 本当にそう思います。では次に、金井社長は社員さんにどんな社長だと思われたいですか。

 

[金井社長] そうですね‥。「常に挑戦しているな」とか、「諦めへんヤツやな」みたいに思われたいかな。実際は「社長、何してんねんやろ」と思われているかもしれないですが(笑)

 

[聞き手] 背中を見せるというか、社長も挑戦しているからみんなにも挑戦して欲しい、みたいな感じでしょうか。

 

[金井社長] そうですね。スタッフには「何歳になっても成長欲求を持ち続けて欲しい」っていう想いがあります。成長欲求が満たされる‥会社にいて自己成長感があれば、絶対に辞めないと思うんです。自分で「成長しているな」っていう実感があったら、やっぱり仕事が楽しくなりますからね。

 

[聞き手] 社長と社員の距離っていうのは近いですか?

 

[金井社長] 特にリフォーム部門には思い入れもありますし、会議もすべて出ています。新卒社員に直接、指導したりはないですけど、「頑張ってるか?」みたいな声がけはしています。

昔は仕事に対する思い入れが強くて、業績が悪かったら「これ、どうするねん!」みたいにやっていましたが、今は一切やっていません(笑)。

 

[聞き手] それでは、ジェルコに入られた理由をお聞かせください。

 

[金井社長] うちはNという社員がジェルコ担当なんですが、「ジェルコの国策情報は非常に助かる」と言っています。ジェルコで教えてもらった大阪府の「住宅リフォームマイスター制度」に今度登録してみようって言っていました。

あと、会社を立ち上げたころは契約とかがゆるい業界だったので、「ウチはちゃんとしよう」と思ったときにジェルコが推奨する契約書のひな型なんかもとても助かりました。

 

[聞き手] なるほど。それではここから、金井社長のプライベートについてお尋ねします。まず、お気に入りの本や映画を教えてください。

[金井社長] 本は色々好きなんですが、まず思い浮かぶのは百田尚樹さんの「海賊と呼ばれた男」ですね。出光佐三さんのあの話が大好きで‥。映画とかドラマでもやっていますよね。「大家族経営主義」といって、定年なし、クビにもしない。もうそれがつい最近まで生き残っていたらしいですけどね。僕らの経営理念にもそれが入っています。

 

[聞き手] そう言えば会社の前の大きな看板にも、社長の名刺の裏にも経営理念が載っていますね。「家族経営/ありがとうと言われる/ありがとうと言える/ハッピーカンパニー」って。これは出光の大家族経営主義から来ているんですか?

[金井社長] いえ、そうではないんですがね、僕の考えと一緒だなと。終戦直後に何百人の社員を集めて、「一人もクビにしない」って宣言して‥。もう、かっこいいし感動しますよ。

 

[聞き手] 本がお好きなようなので、もう一冊行きましょうか(笑)。

 

[金井社長] もう一冊ですね(笑)。うーん、ビジネス小説になりますが神田正典さんっていう経営コンサルタントが書かれた「成功者の告白」っていう本です。起業してから経営者に起こることを赤裸々に実話ベースで書かれています。これはもう衝撃でした。まさしくあのまま私にも起きてきました(笑)。不正とか裏切りとか強烈な内容ですが、「みんな同じ経験するんや」って経営者なら必ずハマると思います(笑)。

 

[金井社長] 今はNetflixとかでよく観るようになったんですが‥。そうだ、「ショーシャンクの空に」ってご存知ですか? 何度も観る映画ってほとんどないんですが、あれは何回も観ています。「最後、なんでこんなにいい気持ちになるんやろう?」って(笑)。

[聞き手] いいですね。私もまた観たくなりました(笑)。では、好きな言葉や座右の銘を教えて下さい。

 

[金井社長] あんまり有名ではないんですが、「行動すれば次の現実」っていう言葉です。行動したら目の前の景色が変わるから、それを見てまた次の行動をしようっていう、そういう意味なんです。要は「行動しなかったら次に進まないよ」っていう意味で。とにかく行動して、行動するから次の現実が出てきて、だからまた行動するんだっていう。 動いてみないとダメだよねっていう。そういう意味なんです。

 

[聞き手] それを念頭に行動されてきたと?

 

[金井社長] そうですね。とにかく動いて、動いてみないとわからないからって。それは今も思っていますし、忘れないように社長室にも大きく掲げています。

 

[聞き手] 金井社長がこの言葉を思い浮かべる時ってどういう時ですか。例えば凹んでいる時とか?

 

[金井社長] いえ、むしろ何か新しいことをやるときですね。「次、行くぞ」っていう時に思い出しますね。「行かないと次の景色が見られないぞ」って。そういう時ですね。

 

[聞き手] なるほど! では次に、趣味や休日の過ごし方を教えてください。

 

[金井社長] 子供が3人いまして、そのうち二人が中2と小5の男の子なんです。彼らがボーイスカウトをやっているのでキャンプが大好きで、家族でも行きたいってことでコロナに入る時ぐらいからキャンプをやり出しました。今は月に1回は息子2人を連れてキャンプに行くっていう生活です。

 

[聞き手] いいですね!キャンプをしていて、いいなと思うことはなんでしょう。

 

[金井社長] 子供達が本当に喜んでいるってことと、息子2人と向き合う時間になっているってことですかね。あと、それまで料理は一切しなかったんですが、キャンプでちょっとやるようになりましたね。

 

[聞き手] おお!どんな料理をされますか。

 

[金井社長] ローストビーフなんかですね。そんなに凝ったりしません。焼いたり、混ぜたりぐらいです。息子たちが薪に火をつけてくれるんです。

 

[聞き手] いいですね~。では社長ご自身はどんなお子さんでしたか。

 

[金井社長] サッカー少年でした。小3からやりだして、 中学・高校は部活動でやって、大学時代は社会人クラブでやっていました。そのクラブ、今はとても強くなっていて、大阪府社会人リーグの1部所属で、もう少ししたら関西リーグか?みたいな感じです。でも私自身は応援するくらいでプレーはしていません(笑)。

 

[聞き手] プロのサッカー選手になりたいと思ったことは?

 

[金井社長] ほんとにちっちゃい時はちょっとだけ思っていましたが、だんだんと現実が見えてくるじゃないですか。うまい人はいっぱいいるし、大学の体育会やプロでやるレベルではないなっていうのは、もう途中で気づいていました(笑)。

 

[聞き手] では少年時代の将来の夢はどんなだったんでしょうか。例えば社長は3代目じゃないですか。「家を継ぐのは当たり前やで」みたいなところで育っておられたのではないかと思うんですが。

 

[金井社長] ところがそれが全然なくて、就職するときも自分で選んで東京に行きました。その後サラリーマン時代に「家業どうする?」って言われたんですが、「やらない」という選択肢もちゃんとあって、そちらを選んでいたらほかの誰かが継いでいたんだと思います。

 

[聞き手] 東京でのサラリーマン時代はどんな感じでしたか?

 

[金井社長] 最初は東京に行くのはめちゃくちゃ嫌だったんですが、3年もしたら向こうの方が楽しくなってきて、もうほんとに帰りたくなくて(笑)。仕事自体も楽しかったんです。今はもう合併されて社名はありませんが、良い会社でした。

 

[聞き手] 東京での人生が楽しいのに、「帰ってくるか?どうする」って言われて戻ろうと思ったのはなぜだったのでしょう?

 

[金井社長] お爺さんが会社をやっていたのはおぼろげながら記憶にありましたし、会社に行ったこともありました。その会社を「お前が継がないのなら他の誰かに頼むし、どっちでもいいで」みたいな話だったんですが、やっぱり「もったいないな」っていう気持ちが湧いてきて‥。それで「じゃあ帰るわ」っていう決断をしました。

「どっちでもいいで」っていう言葉は、親からしたら勇気のいる言葉だったろうなと思います。僕が自分の子供に言う番になったら、なんて言うかなって考えてしまいます(笑)。

 

[聞き手] 突っ込んで聞きますが、2人の息子さんに対して金井社長はどうして欲しいと考えておられますか?

 

[金井社長] 私は悩みましたが、親の立場からしたら絶対にやった方がいいと思うんですよ。というのは、すでにある土台の上からスタートできるじゃないですか。創業者だと0から1を立ち上げないとあかんので、それはほんとに大変だと思うんです。

土台の上で自分のやりたいこと何でもできるんで、「絶対やった方がええで」って言おうと思っていますがね。

 

[聞き手] 土台があるから安心して新たなチャレンジできますもんね。

 

[金井社長] そうなんです。創業者はその土台がないから、生きるか死ぬかのチャレンジをしないといけない。そういう意味では「やらんかったら損やで」「もったいないで」って今なら言えますね。

 

[聞き手] 金井社長は「何歳くらいまで(仕事を)やる」といったビジョンをお持ちでしょうか。

 

[金井社長] 最近よく思うんですが、僕も若くなくなってきています。だから”老害”になる前に世代交代をしないとあかんなと思いますね。

 

[聞き手] 社長は今おいくつですか?

 

[金井社長] 今年48歳になります。年男です。先輩経営者からは「まだ若いよ」って言っていただきますが、次の世代の邪魔をしだしたら良くないと思っていて、だからそうなる前に絶対に第一線を引かなあかんと思っています。譲ったあとで自分で何かやりたくなったら、それこそここを土台に新しい事業部を足させてもらおうかなって(笑)。

引退しても趣味だけで生きていくことは多分できないです。仕事の方が絶対に楽しいと思います。

 

[聞き手] 昔の自分に何かメッセージを伝えられるとすれば、いつの頃の自分に何を言いますか。

 

[金井社長] 先ほどと同じになってしまいますが、会社を継ぐかどうか悩んでいる自分に、「絶対継いだ方がいいで」と言ってやりたい。血縁者だから継いでいくものだ、っていうのももちろんありますが、それよりも自分にとってのチャンスでもあるので、「チャンスを最大限に活かした方がいいよ」って。

 

[聞き手] 結果的に「継ぐ」という選択をされたにも関わらず、それでも当時の自分にそうアドバイスしたいとおっしゃる。当時は相当悩まれたんでしょうか。

 

[金井社長] いやあ、やっぱり悩みましたね。前の会社でほんとに楽しく働いていましたので。東京で、独身生活でしたから(笑)。

 

[聞き手] なるほど(笑)。それでは今、プライベートで一番やりたいこと、挑戦したいことはなんですか。

 

[金井社長] やっぱり海外に行きたいですね。文化の違いを肌で感じたり価値観が広がったり、すごく刺激を受けるからです。これからもっとそっちに目を向けていきたいなって思います。あ、これプライベートじゃないですね、仕事になっちゃってますね(笑)。

 

[聞き手] (笑)。今までどんなところが良かったですか?

 

[金井社長] 例えばGoogleやAppleの本社はかなり刺激的でした。街全部がGoogleやAppleになっていて、日本にはないスケール感と洗練さでした。交差点が「Google ○○」みたいになっていたりと、街全体が大きな公園みたいになっていて、日本にない価値観だなって思いますね。

僕らの世代はギリギリ大丈夫でしょうが、次の世代は絶対に海外と何らかの形で繋がっていかないと継続的発展はないのでは、と思います。

あ、それで言ったら「英会話」がいちばん挑戦しないとだめなことです。でもこれがインタビュー記事に載ったら、もう逃げられなくなってしまうなあ(笑)。ずっと逃げ続けてきていますから。ビジネスレベルまで行かなくても、空港で聞かれたことに答えられる、ホテルでチェックインができる、レストランでオーダーできるぐらいでいいんですが。やりたいですね、それ。挑戦しますよ(笑)。

 

[聞き手] 宣言ですね(笑)。

 

[金井社長] 海外に行くといつも思うんですがね、喋りたいなーって。2ヶ月も経ったら忘れてますが(笑)。

 

[聞き手] でも「英会話に挑戦」宣言はすごく楽しいですね。素晴らしい。ありがとうございます。では最後の質問です。10年後、社長は会社をどんなふうにしたいと考えておられますか?

[金井社長] 10年後ではありませんが、実は「2030年ビジョン」を掲げていまして。これも掲載されたら恥ずかしいなと思いながらですが(笑)。

規模感というか、ここに書いてあるんですが(と言って名刺を示す)、こっそり「100」って書いてあるんです。

 

[聞き手] ホントだ!気づかなかった。

 

[金井社長] 「100年企業で100億」という意味なんです。 ここに型抜きみたいに「100」と入れています。 今はまだ全然到達していなくて、2025~2030年の間に今の倍やらないといけないぐらいの大きなビジョンなんですが。

今、グループ全体で45億ぐらいなんです。それで2025年に50億っていう目標を立てていて、それはある程度見えてきているんです。でもそこから5年でさらに倍(100億)にするとなったら、考え方から何から何まで変えないと無理だなと思っています。

 

[聞き手] 確認なんですが、2030年に創業85年なんですよね? だったら創業100年までまだ15年あるから2045年に100億ということなんですよね?

 

[金井社長] いえ、あくまで2030年に100億っていう目標なんです。でも恥ずかしすぎて「100」って言いにくいから、社内発表会の時にも「岡田監督の『アレ』を借りまして‥アレを目指します」みたいな(笑)。

[聞き手] (笑)。ちなみにリフォーム部門で現在は?

 

[金井社長] リフォームと不動産を足したBtoC部門で10億円ちょっとぐらいですね。

 

[聞き手] 100億になったとき、グループでスタッフ数はどのくらいになっていますか?

 

[金井社長] 今で100人ですから、200~300人になっているだろうなと思います。

 

[聞き手] リフォーム業界って「2億の壁」とか「3億の壁」みたいに言われますが、現在の10億超になれた大きな要因ってなんでしょうか。

 

[金井社長] 多店舗展開は私にはできなかったんですが、不動産事業を広げていって‥リフォーム事業との相乗効果はあったと思います。買取再販は新築の価格が上がっている今、もっと力を入れて行こうと思っています。

ちなみに不動産はほんとにもう何回も失敗していて、今も失敗していますから(笑)。

 

[聞き手] 失敗したっていうのは、挑戦した証拠ですよ。

 

[金井社長] 「行動すれば次の現実」がまさにそれです。失敗するたびに凹み倒してますが(笑)。

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インタビュー中の金井社長は、終始笑顔を絶やさず、楽しそうに受け答えをしてくださいました。リフォーム部門で10億、グループで45億の社長と思えないほどに気さくで、初めての相手にも一切壁を作らないフレンドリーな方でした。

 

事業承継の話題の際、金井社長が「土台があるから継がないと損」、「自分にとってのチャンスだから」とあっけらかんとおっしゃったのには軽い衝撃を受けました。というのは私自身が2代目で、お客様や協力業者さんが先代を高く評価する声を聞くたび、苛立ち、負けまいと戦ってきた道のりがあったからです。「創業者だったらどんなに良かっただろう」、「そうすれば先代の名声と戦わずに済んだのに」と何度考えたかわかりません。

 

しかしもう一つ素直に告白するならば、経営者として挑戦すればするほど、そしてその実績を得るほどに、先代の偉大さと築いてもらった土台のありがたさを実感している自分がいます。

金井社長はきっと、私なんかよりもずっと早い時期から挑戦と実績を積んでこられたのだと感じました。

「行動すれば次の現実」―――。座右の銘を座右に置かず、常に眼前に置いて実践されてきた金井社長の半生が垣間見えた貴重なインタビューとなりました。