景気に左右されない長年育てた地域密着
リピーター7割、新規客3割
LINE連絡を積極的に行う。お客様の細かい要望にも素早く対応
「うちの会社は景気が良くても悪くても余り左右されません。周りが大変と言っているときでも普通に忙しいですね」と語るのは神戸で女性経営者として長年活躍する(有)ミオ・デザインの主森直美社長だ。コロナで他のリフォーム会社が受注が減少しにも拘わらず、普通通りの仕事状況だという。会社は主森社長とスタッフの女性二人。一人は在宅勤務でプラン・図面作成、もう一人は主森社長と一緒に現場に出たり図面作成したりするオールラウンドプレーヤー。そして二人とも子育て中の主婦。
主森社長も子供を育てながらリフォーム会社で働いていたが独立。「自分のできる範囲、地域密着で地道に堅実にやって行こう」と始めたのがミオ・デザインだ。リフォームで地域貢献するには会社の継続が必要であり、「売上アップのために事業を起こしたわけではない。地元のお医者さんみたいなリフォーム会社になりたい」と自社の目的を熱心に語る。
そんなわけで、普通のリフォーム会社とは一線を画すスタイルをとっている。同社の仕事のやり方は次の通りだ。
まず、リフォーム店では当り前なイベントやチラシなどの「バラマキ型の集客」をしていない。その代わりに「お客様がオンラインで会社の状況(施工事例やブログ、近況報告など)を見て頂くことを強化」している。ホームページは常に最新の情報が更新されるように徹底、SNSも積極的に活用している。インスタグラムやピンタレストへは写真をメインで掲載。施工した時期を問わず色んな写真に閲覧者から多く「いいね!」をもらい反応もいい。逆にFacebookでは時系列がはっきりとしたタイムフィード型の投稿となるので、最新の仕事状況や社長のプライベートを書くことで、コメントがつくことも多い。「私の事も交えながら、会社の状況をお伝えしています」という。
過去の施工事例は、ホームページだけに掲載していて、好評なSNSからホームページに誘導する戦略で、実際にアクセスが増え集客も増やしている。またニュースレターは20年前から年間数回発行しているが、全ての年代がオンラインに柔軟に対応できるわけではないので、前年よりも多い2ヶ月に1回の頻度で直近の施工事例や近況などを発信し、オフラインでもお客様と繋がりをもつように取り組んでいる。
こうした顧客対策で、同社の顧客はリピーター(ОB客)7割、新規客3割という構成だ。新規客は殆どホームページからの集客だが、ОB客や不動産会社、OB客のマンションの管理人・管理会社などの紹介客も多く様々だ。「うちの仕事の在り方として重要な部分がリピーターのお客様のフォローを継続しつづけること」だという。地域密着とOB客のフォローが好循環となってきたようだ。また、顧客には建築関係の経営者や顧客のご主人が一級建築士の人達が結構多いとのこと。主森社長は「なぜ同業の方々から受注できるのか分からない。ナンデ?」という。見積金額も中の上クラスで、価格的なメリットもないとのことだが、「ご主人からもしっかりお話を聞く」というきめ細かな対応が受けているようだ。
リフォームでも注目を集めているリモート対策では、コロナに関係なく、たまたま去年からオンラインでの連絡・打合せを取り組んできた。「お客様の問い合わせを大変多く頂いている。信頼・満足感を持って頂けるよう私たちも早く仕事をこなすことが重要なんです。でも社内の人が少ないので、何とかお金を掛けず仕事の効率化を図りたかった」と主森社長は説明する。
具体的な方法は、現場の職人さんとはLINEグループで業務連絡を行い、現場にいる職人さんに確認したい箇所の写真を送ってもらい確認できるようにしたことなどだ。また顧客からの相談もオンラインで対応を早い段階で回答できるようにした。連絡手段もメールからLINEへとシフトし、LINEによるビデオ会議や無料電話ツールを利用することで、資料を見せながら会話できる体制もできた。オンラインでこまめに連絡を取り合うことができる分、「直接お会いして確認することも絶対あるので、直接会うのがこれまでよりも密な濃い時間になった」という。
アフターコロナ時代のリフォーム対応については、「基本的にはこれまでと変わりません。仕事のやり方、お客様への対応は時代が求める対応をしていくし、生産性が向上するなら変えていきます」と、特別なことはしていないと語る。先日事務所を改築し、新しい事務所には抗菌作用のある兵庫県多可郡産のヒノキの床材に変更したり、ソーシャルディスタンスがとれるような新しい生活様式を取り入れた設計にしたりして安心して打合ができる環境を作っている。またキッチンスペースもメーカーのものを入れるとショールームになってしまうので、オリジナルで製作、「世界でただ一つのキッチン」が自慢だ。
最後に、このコロナ禍をどう乗り越えていくかについて次のように訴えた。
「皆で頑張って仕事を続けていかなければいけないと思う。自分の会社だけが得をしてはいけない。それはどの業界でも同じだと思いますので、みんなで協力し合って頑張って乗り越えていかないといけない。日本は経済が衰退していく感じですので、生き残りをかけた競争がもっと激しくなると思うのです。その中で一生懸命、お客様のために頑張っている同業者の方が、本当に事業を続けていくためには助け合っていかないといけないと本当に心から思います。常に最悪の事を想定しながら、ものごとに対応していかないといけないと思います」