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2024/01/01 その他

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令和6年会長新年ご挨拶

           (一社)日本住宅リフォーム産業協会(ジェルコ) 会長 盛 静男

未来を見据えた活動を・・・

明けましておめでとうございます

皆様におかれましては、新春を清々しい気持ちでお迎えのこととお慶び申し上げます。

長引くウクライナ、イスラエルにおける戦争では多くの犠牲者を出し続けています。この戦争を終わらせる道をなんとか導き出して頂きたいと強く願っております。

こうした地政学リスクが原油価格上昇や資材高騰に繋がり、さらに人口減少、職人不足、用地不足などの要因が重なり新築住宅価格は右肩上がりで推移し、消費者の購買意欲の低下に繋がっています。リフォーム市場も同様の傾向ではありますが、今後、大規模改修の増加が見込まれており活況を期待できると考えております。

また、コロナ禍、世界インフレをきっかけに長かったデフレ社会から物価と賃金が上がる経済の姿が見えてきました。この先も緩やかなインフレと成長の好循環を描ける社会を期待しています。

本年度も皆様と一緒になってリフォーム業界を盛り上げていきたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。

2024年のリフォーム市場

矢野経済研究所によると住宅リフォーム市場規模は、2023年7.4兆円、2024年は横ばい(水廻り、創エネ関連)で堅調に推移すると予測しているが新築市場は分水嶺に差し掛かってます。

新築着工数は2030年には70万戸、2040年には49万戸(野村総研資料)と減少していく見込みです。これを受けて新築住宅メーカーや工務店がリフォーム市場に進出する動きも見られます。一方、日本の住宅ストック総数は6240万戸(2018年)、世帯総数が5400万戸なので840万戸の空き家が存在しています。野村総研の予想値では2023年の全国の空き家数は1000万戸を大幅に超えると予測しています(2016年調査)。今後、空き家をどう活用するかが住宅産業の将来を左右すると考えています。空き家活用法として、改修して賃貸、シェアハウス、民泊、介護施設、教室、ギャラリーとして利用する。近年は地球温暖化対策、カーボンニュートラル実現のためにも空き家を上手く活用することが求められています。

2024年以降は、既存住宅の耐震性と断熱性(省エネ)を向上させ、創エネ設備を追加するZEHリフォームを推奨したと考えています。住宅性能向上させることで住宅が適正に評価され、流通する仕組みなど市場の好循環を促すことを期待しています。また、2025年4月法改正により4号建築物廃止(正確には縮小)により大規模な修繕・模様替え工事で確認申請提出の義務が発生します。今後、詳細な部分が決まるとされておりますが、内容次第では事業者の負担は一気に増えると考えられます。

 

いのちを守る断熱改修

WHO(世界保健機構)が冬季室内温度18℃以上を強く勧告しています。室温18℃未満では血圧上昇、循環器系疾患の恐れ。16℃未満では呼吸器疾患に対する抵抗力低下をまねく恐れ。5℃では低体温症をおこす危険があると明記されています。世界では、住まいの環境を整える断熱化が認識されつつあります。住宅の断熱化が健康維持、改善に繋がり熱中症対策にも効果が期待できるエビデンスも得られています。建物全体の断熱化が理想ではありますが、多額な費用を必要とするので住まい手が長時間使っている部屋(リビング、寝室、洗面室、トイレ等)を断熱化する「エリア断熱」を工事費用の抑制も含め推奨しています。また、ひと部屋(長時間暮らす寝室だけ)の断熱改修でも健康維持、改善に効果がでると言うエビデンスも得られていますので「エリア断熱」・「ひと部屋断熱」リフォームを進めて行きたいと考えております。

 

経営課題

アスベスト対策、インボイス制度、職人不足、完全週休2日制、育児・介護休業等のワークライフバランス。4月には罰則付き残業上限規制も始まります。業務効率、生産性向上に繋げるDX活用。将来を見据えた投資(DX、人材、教育、SDGs、CSV、ESGを意識した事業開発)を積極的に行い自社の強み(コア・コンピタンス)を持つことが必要だと考えています。2025年4月の法改正(4号建築物特例廃止)に対応するために建築確認申請ができる体制、技術力を強化しなければなりません。この厳しい社会環境下、生き残りのために更なる創意工夫を図らなければなりません。

 

2024年「次世代型ビジネスモデル」の構築

地球規模で取組んでいるSDGs、温暖化対策、カーボンニュートラル実現に向けての積極的な活動や多様性ある社会課題を解決することが事業者に求められています。

社会課題解決策とリフォームビジネスの融合が持続可能な社会を実現する「次世代型ビジネスモデル」であり自社のコア・コンピタンスになり得ると考えております。

ジェルコが進めている「エリア断熱・ひと部屋断熱」リフォームをブラッシュアップさせ、さらに活動を進めることが「次世代型ビジネスモデル」として社会に周知できるものと信じております。

2024年のポイント

  • 空き家活用の好循環がイノベーションを生む
  • ZEHリフォーム(断熱改修)が温暖化対策、健康維持、改善に大きく前進させる
  • SDGs、CSV、ESGに配慮した事業者が社会に受けいれられる

 

3つのポイントを我々事業者は意識し、事業を進めることがサスティナブル社会に貢献でき、自社の発展、継続に繋がるものと信じております。

また、事業を進めるうえでの羅針盤として、ジェルコビジョン2030を達成するためのガイドラインを作成しております。近日中に発信いたしますのでご期待願います。

 

リフォーム事業者の「未来を見据えた活動」が描けるよう進めてまいります。

設立40周年記念イベント

1983年10月20日八重洲国際観光ホテルで設立総会がありました。設立時の会員数62社。現在は500社を超えるまでになりました。当時、爆発的人気を博した活動が実践研究会でした。本音と本音の熱い議論が交わされた実践勉強会だったと聞いております。今も諸先輩方のDNAが受け継がれていると感じております。2024年6月第16期定時総会において設立40周年記念イベントを予定しております。

 

皆様にとりまして、新しい年がより佳き年でありますよう心から祈念いたしまして新年のご挨拶とさせていただきます。

 

(一社)日本住宅リフォーム産業協会(ジェルコ) 会長 盛 静男