ジェルコの履歴書

Resume Of JERCO

2023/11/09 経営

ジェルコの履歴書其の六 株式会社ゲイナンハウス③

株式会社ゲイナンハウス 代表取締役 河野啓一氏 創業45周年お客様感謝祭 趣味のユーフォニアムを演奏

さて、社業ですが、公共下水道への切替工事を中心に行ってきたのですが、いよいよその仕事にも終わりが見え始めて来た頃、目に見えて仕事が減り始めました。すると良からぬことが起こるもので、下水と雨水をつなぎ間違え、汚水が側溝に流れ出るなどの施工不良が起こり始めました。社内の雰囲気も悪く、職人も自分の仕事が早く終わっても事務所に帰ってこずに、応援と称して別の現場に時間つぶしに行く始末。さらに、職人から営業職に転向した者が、ギャンブルで借金を作ってしまい、その返済にお客さんから集金したお金を使いこんでしまった事が発覚。本人も家にも帰らずに失踪。会社から30分程山の方に入ったところで本人が乗っていた車は発見されたものの、未だ行方は分かりません。こんな状況に、もうこれは抜本的な手を打つしかないと腹をくくり、5年前に社長を父から引き継いでいた叔父にリストラの話をしたところ、「職人がおらんようになったら、誰が仕事をするんか?そんなことしたらつぶれてしまう!」と反対するも、打つ手も無く、じゃあ私の思うようにさせて下さいと、早速自立できる職人からリストラの話をしたところ、「沈む船からネズミが逃げる」がごとく、当初計画していたよりも多くの人員が退職を希望し、一気に人員整理を進めることができました。(皆会社の状況を分かっていたのでしょうね)

 

そんなわけで、一気に身軽になりましたので私の思うように経営したいと、2002年45才の時に社長を交代。下請を止め自社の強みを生かしたOB客を中心としたリピートビジネスに切り替えました。

早速、これまでジェルコや本で学んだ事を生かすべく、顧客を層別に分類し上得意客を中心にニュースレターやイベントなどでの顧客との関係づくりに注力。賃貸だった廿日市店を顧客の多い団地の入り口付近の空き地を取得し店舗を移転。社名も創業以来の「株式会社芸南ハウス設備」を「株式会社ゲイナンハウス」に変更しました。

売上は一時ピーク時の半分まで落ち込みましたが、身軽になった分堅調に利益が出るようになり財務状態も改善され今に至ります。

 

一方、ジェルコの方は支部長を交代してあちこち視察に行ったりしていたところが小野専務理事の目に留まり、本部理事を要請され、その後山口さんが会長になられた時に副会長を仰せつかりました。丁度その頃埼玉県富士見市の認知症高齢姉妹が3年間で5000万円もの悪徳リフォームの被害に遭うと言う社会問題が起こり、ジェルコとしても何とかしなくてはと、悪質リフォームホットラインを設け対応をしました。

 

 

広島に居るだけでしたら大して感じなかったのでしょうが、本部に行く度に悪質リフォームの実態を聞き、同じリフォーム業者としてこんな業者と一緒に見られてはならないと危機感を覚え、一級建築士の資格取得を決意。50歳で日建学院岩国校に受講を申し込みました。受講が始まってみると、受講生は20代30代ばかりで、勿論受講生の中で最長老!夜は嫌いでないお酒の付き合いが多々あるので、毎朝5時に起きて7時までを勉強の時間にあてて、何とか合格点ぎりぎりで学科をパス。設計製図は書けたと思ったのですが、残念ながら一年目は不合格となり、翌年再チャレンジして何とか取得することができました。合格発表の日に山口会長からも電話をいただき、自分の事のように喜んでいただきました。

ほぼ丸2年間日建学院に通い、子育て中の彼らの「今年も子供の運動会を見に行けない。嫁からはもう止めてくれと泣かれた。」とか、「受講料のローンの返済が大変」と若い受講生たちの生の姿を垣間見ることができたのも良い経験でした。

4年間の副会長職は楽しい事も多かったですが、理事会など多士済々の会議は疲れることも多かったことも思い出します。大したことは出来ませんでしたが、多くの出会いと知己を得ることができたことに感謝しております。

 

さて、長々と振り返って参りましたが、弊社のターニングポイントは私が社長になった際に業態転換ができたことに尽きます。それができたのは、30歳の頃からジェルコに関わらせていただき、自分がありたい企業像を持つことができたからとの思いに至ります。もし、思い切って業態転換ができずに旧態での業態を続けていたら今の我が社は無かったに違いありません。改めてジェルコの諸先輩方に感謝する次第です。

長男は大学卒業後ハウスメーカーで3年間お世話になった後弊社に入社し、現在工務の責任者として頑張ってくれています。これまでも、ジェルコに行ってしっかりと学んでほしいと思うものの、地元の青年会議所活動に熱心だったため叶いませんでしたが、来年からは自分がありたい企業像を求めて、積極的にジェルコに参加してもらいたいと思っております。

 

最後になりますが、ジェルコの良さは何と言っても会員企業の門をたたけばオープンに教えを乞うことのできる会の風土だと思います(勝手に思ってるだけかも知れませんが)。会員が増えこの会が発展して欲しいと思いますが、いつまでもこの風土が続くことを期待して終わりとさせていただきます。